チベットを知る会

ネパール震災、その後

2015年12月22日

1月16日に講演していただくルンタ・プロジェクト中原一博さんによる、震災後のネパールレポートを転載します。

11月10日から12月16日にかけて、ルンタプロジェクトの中原はネパールに入った。震災後三度目となる。すでに開始している女性自立支援事業の支援対象者を、様々な理由で周縁化され、厳しい貧困状態におかれている女性グループへ拡大できないか調査するためと、新たな事業の可能性を探るためだ。現行の女性自立支援事業の進捗モニタリングや関係者訪問に加え、人身売買被害者支援団体とスラムを中心に調査を実施し、今後の事業の展開において、有益な数々のネットワークや企画案を得ることができ、とても有意義であったと感じている。
今では、ネパールの震災後状況が報道されることはほとんど無くなってしまったが、ネパールはまだまだ厳しい状況におかれている。今年4月25日に発生した大地震によって被った甚大な被害から、なんとか立ち直ろうとしていた矢先、ネパール新憲法制定に伴って9月に発生したインドとの国境閉鎖問題のせいでインドから輸入されていたガソリン/ディーゼル、プロパンガスといった燃料をはじめ、医薬品などの必需品が入ってこなくなっている。ガソリンやプロパンガスは闇マーケットで売られてはいるが、価格は3~5倍に跳ね上がっている。公共バスの運賃も上がっており、移動もままならない。家庭やレストランではプロパンガスを買えずに薪を使うところが多く、森林破壊と大気汚染が心配されている。復興事業に必要な建築資材もさらに高騰し、被災地はもちろんのこと、国全体が憔悴しきっているようにみえた。この状態が長引けば、事態はいっそう深刻化し、暴動などが起こる可能性もあると心配される。
以下、トピックスごとに数回に分けて今回のネパール訪問について報告させて頂く。
①女性自立支援事業のモニタリング
現在、ランタンを中心とした被災女性を対象とした自立支援事業の進捗状況をモニタリングした。この事業はNatural Resource Development Center(NRDC)を現地協力団体に卓上織機を使用して織物を織る事業だ。NRDCはネパール山間部で暮らす女性たちの自立支援を目的とした手工芸や織物の研修を実施するNGOで、ハンディクラフトのショールームを運営し、世界中のエシカルファッション、フェアトレード団体に向けた卸売やマーケティングも行っている。
ランタンの女性たちは地震による雪崩により家を失い、カトマンズで相変わらず避難生活を続けている。地震直後はカトマンズのチベット寺院の前庭にテントを張って、集団で暮らしていたが、今はスワヤンプーストゥーパの周辺に家族や親戚、仲間同志で部屋を借りて暮らしていた。集落ごと消えてしまったユル村の代替地は決まっておらず、避難生活が長引くことが危惧される。
この事業は避難先でも作業ができるようにと卓上織機を用いて織る事業である。9月までにNRDCでジャワラケル難民キャンプの女性と併せ、計25名が練習用の小さな卓上織機を使用して研修を受けた。日本人デザイナーMomoさんの指示のもと、12色に染められた糸を用いて、練習を兼ねてプレインカラーの織物を織ってもらっている。これまでに卓上手織機で織れるサイズの布380枚が仕上がった。その作業と並行して、より幅が大きく、長めの織物を織ることができる中型の卓上手織機7種類を試用してもらい、そのうち最も使い易いと日本製の卓上手織機を1機選び、36台を日本へ注文しようとしたところ、運悪くインドとの国境閉鎖問題が勃発。ガソリン不足のため、配達や運搬がままならない状態になってしまった。今回、11月になんとか卓上織機34台を日本から運び入れたものの、燃料不足のため新しい糸染めができない状態となっている。
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