アムネスティの緊急アクションの紹介
チベット語教育の必要性を訴えていたチベット人の若者タシ・ワンチャクさん(30歳)が拘禁され、民族分離主義扇動罪で起訴された。家族や弁護士への接触も許されていない。有罪となった場合、最大15年の懲役となる可能性がある。
タシ・ワンチャクさんは、1月27日以来、青海省王樹で中国当局に拘禁されてきた。「チベット問題国際キャンペーン」によれば、家族が彼の拘禁を知らされたのは、3月24日だった。民族分離主義扇動罪で起訴されたという文書を受け取った。しかし、拘禁場所は知らされず、弁護士を付けることもできなかった。
ワンチャクさんは、チベット人が多い地域の学校におけるチベット語教育の導入を主張していた。現在、中国では標準中国語のみが学校における言語となっている。彼は、チベット人児童の多くが母語を話せなくなっており、またチベット文化が徐々に衰退している、との懸念をソーシャルメディアで発信していた。そして、政府の言語教育政策の問題を法廷に持ち込もうとしたが、実現できなかった。ニューヨークタイムズは、この件を記事と動画で配信していた。「あるチベット人の正義を求める旅」と題する記事の中で、ワンチャクさんは、北京に向い、学校教育でのチベット語の欠如の問題で地元の役人を相手に起こす訴訟に協力してくれる弁護士を探していた。しかし、弁護を引き受ける事務所はなく、メディアもこの問題の報道をしてくれなかった。